研修医のみなさんへ

大学院進学のすすめ

大学院課程を履修した経験がなく、臨床だけに身を置いてきた私が、皆さんに大学院進学を勧めるのはおかしなことかもしれません。しかし、大学院未経験者であるからこそ今になって、「大学院に進学しておけばよかった。」と思うことがあります。医学には未解決の部分があまりにも多くあり、その本態を知らずして、経験的医療を続けてきたジレンマからです。臨床研修から専門医を効率よく目指す若者が増えていますが、一生続けるドクターの生活をより充実させ、より探究的にするために、大学院進学の価値を見直していただきたいと思います。

これまでは、学位取得のためには「大学院進学」と「論文博士(臨床に従事しつつ研究)」の二つの道がありましたが、大学院大学隆盛となった現在では、大学院課程教育の実質化の意味から、「大学院(一般枠)」と「大学院(社会人枠)」の二つになりました。後者は、いずれかの病院勤務しながら大学院講義を受講し研究を続けるコースです。

1.大学院へ進むと臨床能力が落ちるのか?

岡山大学皮膚科では、大学院(一般枠)といえども皮膚科診療に従事する期間と曜日が設定され、臨床技量の研修を同時に実施していますので、臨床能力が落ちることはありません。臨床と基礎研究をつなぐトランスレーショナル リサーチに重点を置いた研究体制をとっているためです。

2.学位取得に意味はあるのか?

医学博士の称号自体で臨床医の価値が決まるわけではありませんが、大学病院などの基幹病院のスタッフドクターには、若手医師を臨床面と研究面で指導する役割が課せられます。そのため、学位取得を採用条件にする場合があります。とくに大学病院においてスタッフドクターに採用されるには学位あるいは学位相当の研究・指導能力が要求されます。

3.専門医取得が遅れるのではないか?

現在の皮膚科専門医の資格においては、皮膚科系大学院に入学した場合と一般臨床研修生に年数において差がありません。

4.学位取得のための研修プログラムはあるのか?

大学院生のためのResidency Program を準備しています。

5.留学の機会はあるのか?

大学院博士課程を修了し、学位論文が出来上がれば、それが名刺代わりになり、ポスドクとして海外留学の道が開けます。大学院課程中でも、研究遂行のために必要な技術を習得するために国内留学する場合もあります。

文責:岩月啓氏